西荻窪駅から徒歩9分程、閑静な住宅街の家々の並びの中に自然と馴染むように、松庵文庫は佇む。自然に馴染んでいるのも、ここは元々音楽家の夫妻が実際に住まわれていた家だったため。
靴を脱いでお店にあがると、木造の古民家が備えているある種の温かみを感じた。テーブルも古い木のもの。文庫と店名にある通り、店内には本棚があり、各席には文庫本が配置されている。特に本を読むために来た訳では無いが、本に囲まれているだけで個人的には安心感がある。古民家は庭を囲むような作りになっており、庭には樹齢百年のツツジがある。席と席のスペースは広くとられており、各々、古民家全体を流れるゆったりとした時間の流れを、楽しんでいる風だ。
スパイスチーズケーキとチャイを注文。シナモンがかかったチーズケーキは初めてだが、風味がとても良く美味しい。チャイは甘く優しい味で、カルダモン、シナモンは控えめだけれど、これはこれでとても美味しい。
店主の方も仰っておられる通り、このお店での時間の流れ方はとてもゆっくりで、落ち着ける。田舎の別荘で過ごしているような感覚だ。やはり、長い年月をかけてでしか培うことのできないものというのは、この世界に確かにあるのだと、ここで過ごすことで確信した。
個人的にはかなりのお気に入り。