喫茶去 一芯二葉(きっさこ いっしんによう)

西荻窪駅から徒歩3分、路地を奥に入ったところにそのお店はひっそりと佇んでいる。店のまわりには草木が生い茂っている。木の葉とマンションが日を遮り、辺りの空気は湿っている。

店の前に立てかけてある看板には「Tea and Scone 〜紅茶・台湾茶・日本茶とスコーンのお店〜 茶葉の販売、焼き菓子のお持ち帰りあります」とある。
店内にはテーブルが3つ、計5席あり、私たちが伺った時点で既に満席だった。店主らしき男性が「いつになるかわかりませんが、お待ちになりますか」と私たちに尋ねた。私たちは、店外で30分ほど待った。

順番が来て、繊細そうな店主が我々を店内に案内してくださった。


水とおしぼりと共に、ミニチュアカップに入った紅茶が提供された。おしぼりは使い捨てではなく、店主の好みで用意されたであろう、大切なハンカチのようなものだった。これらのお店の遊び心、おもてなしの心によって、初めて訪れた私たちはこのお店と少し打ち解けられたような気がした。

注文したのは、ケーク・オ・フロマージュと矢部紅茶。紅茶用のカップは、店内にある好きなものを選べるとのこと。


葉は取った状態で提供されるので、時間が経って濃くなりすぎることがない。また、葉も香りを楽しむために一緒に提供される。


矢部紅茶は渋みがほとんど無い、透き通った味。主張せず、抵抗無く体にすっと染み渡る。


ケーク・オ・フロマージュ


カップの裏を見ると、Coalport(コールポート)とある。Englandの陶磁器メーカーで1795年に創設。1967年にWedgwood傘下にはいったので、今はもう無きメーカーらしい。

お茶はもちろん、お菓子の素材、器にもこだわりといったものが感じられる。

よく、時間制限を設けるカフェがあるが、このカフェはそれとは異なる。
「いつになるかわかりませんが、お待ちになりますか」
この言葉からは、一人一人のお客に心ゆくまで静かなひとときを楽しんでもらいたい、という信念のようなものが感じられる。席が5席しかないのも、売り上げよりも一人一人のお客を大切にしたいという強い思いからではないだろうか。

店主のおもてなしの心、こだわり、好みを間近に感じられるカフェであった。

店舗情報

店名 : 喫茶去 一芯二葉(きっさこ いっしんによう)
住所 : 東京都杉並区西荻北 3-31-13-103
西荻窪駅から徒歩3分
お店のページ : http://issin-niyo.forestarium.com/

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