かつて映写室で使われていたという錆びた金属のドアを開けると、薄暗い空間が広がっていた。店の奥にはJUHAと大きく書かれたポスターが貼られている。そしてジャズがどこか奇妙な響き方をしている。
店名はカウリスマキの映画名で、この映画のような雰囲気を出すことがテーマらしい。どんな映画なのだろう。薄暗い中に古びた木のテーブル、青い壁、すとんと抜けるように響く音楽。独特の雰囲気がある。何も考えずにぼーっとしてしまいそうだ。
マッシュルームカットの店主が一人で店を回していた。機敏に立ち振る舞うようすが小気味良い。音楽が終わるタイミングで、キッチンの作業の合間を縫うように、レコードを入れ替える様子になんとなくハッとした。その作業も、料理を作ったりお茶を淹れたりするのと同様に、カフェとしての作業の確固としたひとつになっていることに対して。
横顔は、目が髪の毛で隠れていてミステリアスな様子だったが、実際に注文時や会計時に接した際には、感じのいいポップな男性という印象を抱いた。Twitterのつぶやきも冗談交じりで面白い。