英国風ティールームであるベリーズティールームは、浜田山駅の南側、人通りの少ない通りに佇む。混雑していることは少なく、大抵の場合待たずに席に座れる。
このお店のお客さんの多くは、一人でもの静かにひとときを過ごしている印象を受ける。店内はBGMとキッチンからの家庭的な音だけが漂い、とても心地のいい音空間が作り出されている。2016年冬あたりには、エンヤの曲が多かったが、それは英国風を意識してのことなのだろうか。2017年の秋にはショパンのピアノ曲がかかっていた。何れにしてもとても落ち着く店内である。
ダージリンのファーストフラッシュ。キャッスルトン茶園のもの。水色は淡く透明感がある。甘く透き通った味に、後から軽やかな渋みがふわっと降りてくるような、とても美味しい紅茶だ。
ティーカップ等の食器はとことん英国のものにこだわっている印象を受ける。こちらはミントン(Minton)のもの。1973年に創業されたイギリスの陶磁器メーカー。2015年にロイヤルドルトンに買収された。他にもスポード(Spode)や、ウェッジウッド(Wedgwood)等の食器がこのお店で用いられている。
あまり目立たないが、用いられているカトラリーをよく見ると、普段あまり目にしたことの無い特徴的な形をしており、なんとなく重厚感を感じる。このカトラリーはお店をオープンする前の2012年にクリニャンクールのアンティーク市で購入したものとのこと。純銀製では無いが、金属の上に純銀がコーティングされているので銀特有の輝きがある。
月ごとに月限定の英国菓子があり、9月の英国菓子はコーヒー&ウォールナッツケーキ。これを店内で焼いたのが信じられない程、とても美味しいケーキだ。柔らかく程よく湿った生地を濃厚なバタークリームの甘みが包む。
クランペットは、このお店自慢のお菓子。甘さは微かで、塩が効いており、モチっとした食感。バターとゴールデンシロップをかけることで、甘みと濃厚さが加わり、十分な満足感を感じられる。
英国ティールームという非日常空間の中では、時は日常とは異なった進み方をするらしい。この空間内はゆったりとした時間が流れているように感じられるが、ふと時計を見ると想定外に時間が経ってしまっている。そろそろいかなくては。名残惜しさを感じつつ店を出る。